思い出は痛みだけ・その２

楽しかった思い出は
どこ？
嬉しかった思い出は
どこ？
どこにも見当たらない

わたしの思い出は
痛みばかりで

思い出す度
心の古傷がうずく

あの人と
差し向かいの
間に流れた
冷たい風や

母親を
看取ったときの
壮絶な
断末魔の最期や

愛する我が子の
花で埋め尽くされた
亡骸や

思い出す度
古傷から血が滲む

春のように
暖かな思い出も

ぎらぎら夏のように
きらめいた思い出も

きっと持っているのだろう

だけど
痛かった思い出が
余りにも多いから

もう
思い出せないの

痛みの数だけ
年を重ねて

きらめく思い出を
痛みの中から
必死で探す




#ネガティブのままでいい
#シニア女性
#現代詩
#詩
#ポエム
#心
#いのち