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獄中手記、獄中詩

ガラス越しのさよなら(再掲載)

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昔、こんなこと書いてたんだね。
自分でも忘れてた。
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精神科に入院中は、患者たちとよく話をした。

「食事は私らにとって大きなイベントよ!」とか
「昼のイベント、まだ?」とか
バカなことを言い合っては笑ってた。

でも、それぞれが抱えた歴史は
それぞれに悲しい。

珍しくしんみりと、
カオリさんが自分の事情を話し出すと、
やはり思い出すのだろう
彼女は、唇を震わせて、
必死で涙をこらえてた。

普段明るい、彼女の涙。

カオリさんの心の内にある
悲しみの歴史を
私は垣間見た。

私の退院日が決まって

「ナレイさんがいなくなっちゃうの、寂しいよ・・」
と言われて
「そう思ってくれるだけで、嬉しいよ」
と私は言った。

でも、ここは病棟。
どんなに仲良くなっても、
いずれは別れが待っている。

そして、退院の日。

退院の手続きやら会計やらを済ませて

「じゃあ行くね。お世話になりました」
私はそう言って、一人一人と握手した。

精神科病棟は、ガラス張りになっている。
荷物を持って、そのガラスを出た私を
みんなが、見送ってくれた。

ふと見ると、
ガラス一枚隔てた向こうで
カオリさんが涙ぐみながら、
必死で笑顔を作って、手を振っている。

日頃明るいカオリさんの泣き笑いは、
私の胸を熱くした。

バイバイ、カオリさん、みんな。
早く良くなって、みんなも退院するんだよ。

仲良くしてくれた3週間
本当にありがとう。

そう思いながら、私たちは
ガラス一枚隔てて、
みんなとさよならをした。

厳しい現実が待つ
ガラス張りの向こうに出た。

ガラス越しのさよならは
いつも
いつも 悲しい。



フリー画像空と電線と家と・小さめ

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