精神科病棟の悲しみ・その2
前記事を書いていたら
無性に入院したくなった。
「ナレイさんもっとおおきい声でうたって」
と、私に「子守唄」をせがんだあの子、
涙ぐんで見送ってくれた人、
みんな今頃どうしているのだろう....
私たちが互いに感じていた、
小さな、絆とも呼べない、つながりは、
互いに病気だから、ではなかった。
現実世界での
幾重にも重なった苦しみや悲しみが、
みんなの背中に見えたから。
それは必ずしも、病気ゆえ、とは限らない。
私たちは皆、
がちがちに管理された
あの精神科病棟という空間で、
束の間、解放 されていた。
不自由の中に、自由 を感じていた。
殆どの人が、
自分の病気について語ることはなかった。
それはべつに隠したいからではなくて、
わざわざ病気の話をする必要性を
感じていなかったから。
病棟の中で、解放 され、自由 を
満喫していた私たちは、
他愛もない雑談をしては楽しんでいた。
「シャバの風はつめてえぜ~」
「私も前科4犯だから、
白い目で見られるんだぜい」
などと言い合っては笑ってた。
みんな、シャバに戻ると、
また、苦しみ悲しみの日常を、
生きなくてはならないことがわかっているから、
誰もが、帰りたくなかったんだと思う。
窒息しそうな日常へ
まるで冬だけがつづくような日常へ
終わらない日常へ
それぞれが、呪縛の現実へ
また、この身を投じなくてはならない
そう思っていたから
帰りたくなかったのだと思う。
互いの背中に見た悲しみ苦しみ、
その つながり。
だからあんなに楽しかったんだと思う。
あの頃を思い出して、陽水を聞いた。
あの 深い詩とメロディー、
あの、悲しく伸びていくような歌声、
失った過去を取り戻すように
私は、陽水に耽っていた。

陽水の歌の中で、
私がいちばん好きなのはこれ。
みんな「青空、ひとりきり」がいいと言う
「青空、ひとりきり」も好きだけど、私は、これ。
これはもう、歌詞 ではなく、詩。
「たいくつ」
♪爪が伸びている
親指がとくに
伸ばしたい気もする
どこまでも 長く
蟻が死んでいる
角砂糖のそばで
笑いたい気もする
当たり前すぎて
手紙が僕に来る
読みづらい文字で
帰りたい気もする
ふるさとは 遠い♪
#日記
#ひとりごと
#日常日記
#心
#エッセイ
#人間
#人生
無性に入院したくなった。
「ナレイさんもっとおおきい声でうたって」
と、私に「子守唄」をせがんだあの子、
涙ぐんで見送ってくれた人、
みんな今頃どうしているのだろう....
私たちが互いに感じていた、
小さな、絆とも呼べない、つながりは、
互いに病気だから、ではなかった。
現実世界での
幾重にも重なった苦しみや悲しみが、
みんなの背中に見えたから。
それは必ずしも、病気ゆえ、とは限らない。
私たちは皆、
がちがちに管理された
あの精神科病棟という空間で、
束の間、解放 されていた。
不自由の中に、自由 を感じていた。
殆どの人が、
自分の病気について語ることはなかった。
それはべつに隠したいからではなくて、
わざわざ病気の話をする必要性を
感じていなかったから。
病棟の中で、解放 され、自由 を
満喫していた私たちは、
他愛もない雑談をしては楽しんでいた。
「シャバの風はつめてえぜ~」
「私も前科4犯だから、
白い目で見られるんだぜい」
などと言い合っては笑ってた。
みんな、シャバに戻ると、
また、苦しみ悲しみの日常を、
生きなくてはならないことがわかっているから、
誰もが、帰りたくなかったんだと思う。
窒息しそうな日常へ
まるで冬だけがつづくような日常へ
終わらない日常へ
それぞれが、呪縛の現実へ
また、この身を投じなくてはならない
そう思っていたから
帰りたくなかったのだと思う。
互いの背中に見た悲しみ苦しみ、
その つながり。
だからあんなに楽しかったんだと思う。
あの頃を思い出して、陽水を聞いた。
あの 深い詩とメロディー、
あの、悲しく伸びていくような歌声、
失った過去を取り戻すように
私は、陽水に耽っていた。

陽水の歌の中で、
私がいちばん好きなのはこれ。
みんな「青空、ひとりきり」がいいと言う
「青空、ひとりきり」も好きだけど、私は、これ。
これはもう、歌詞 ではなく、詩。
「たいくつ」
♪爪が伸びている
親指がとくに
伸ばしたい気もする
どこまでも 長く
蟻が死んでいる
角砂糖のそばで
笑いたい気もする
当たり前すぎて
手紙が僕に来る
読みづらい文字で
帰りたい気もする
ふるさとは 遠い♪
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#人生