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獄中手記、獄中詩

精神科病棟の悲しみ

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精神科病棟は、他の科とは全然違う。

入院すると先ず荷物チェック。
瀬戸物は❌
カミソリは❌
ハサミは、眉ばさみでも勿論❌
ポーチの中身から何から何まで全部!出されて
1つ1つチェックされ、
危険と判断された物は没収。 
ナースステーションは、アクリル版で囲ってあって、
中の声は一切聞こえない。

午後5時、病棟は施錠され、
それ以降、外へ出てはいけない。
タバコとケータイ没収。
まるでムショ。 

何度も入院してるうち、
薬を飲んだフリ で
後で吐き出して、ためておくことも覚えた。
鏡や薬をどこにシコンでおけば、
バレないのかも覚えた。
(ちょっと難しいんだけど、
良いシコミ場所があるんだよねー
公開だから言いませんけどぉ)
 
「私、退院なんだよね、○日に」
そう言うと、
「ええっ?ナレイさん退院しちゃうのー?」 
と、みんな言ってくれた。

でも、私を含めた誰もが、出たがらない。
シャバに出ると、つらい現実が待ってるから。
私はいつも、せいぜい2週間程度の入院なのに、
退院のときは、病棟入口まで
みんなが見送ってくれる。

精神科フロアのエレベーターを待って、
乗り込んで、閉まるまで、
ガラス越しに見送ってるんだ・・・涙して。
思い切り、手を振って。

それぞれが
どれほどの思いを抱えてここに来ているか…
そう思うと、私も帰りたくない!と毎回思った。

消灯前の6人部屋で、
私はイヤホンで陽水を聞きながら、
迷惑にならないように、
ひっそりとした小声で歌っていたら、
向かいのベッドの女の子が、
「ナレイさん、もっと大きい声でうたって」
そう言うので、
他の人たちに「良いですか?」
と聞くとみんな良いよ、と言ってくれた。

「もっと大きい声でうたって」
という言葉は、
まるで、幼子が、
お母さんに子守り歌をせがむようで。

わたしは歌った。
「長い坂のフレーム」やら「心もよう」やら、
「ジェラシー」やらを。

「ああ・・気持ちいい・・・なんか」
と、その女の子は言った。
他の人たちも
「いいわねえ・・・」と、聞いてくれた。

精神科病棟は、
みんなの悲しい歴史に満ちている。
ガラス一枚、隔てた向こうに。

ナースたちはきっと
その人の 病気しか 見ていない。

あんなに沢山の、悲しい歴史が
病棟中に、香っているのに。

フリー画像・団地の灯り

「長い坂のフレーム」
(これ、あんま知られてないけど
陽水の中でも、特に私の好きな歌)

♪このごろは友達に
手紙ばかりを書いている
ありふれた思い出と
言葉ばかりを並べてる
夢見がちな子どもたちに
笑われても

ときどきはデパートで
孤独な人のふりをして
満ち足りた人々の
思い上がりを眺めてる
昼下がりは美術館で
考えたり

誰よりも幸せな人
わけもなく悲しみの人
長い坂の絵のフレーム♪


陽水は、歌詞がいい。
本当に 詩のようで。

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