愛しき者の旅支度

愛しき者の旅支度

あの子は いつも私の帰りを待っていた

ちょっと そこまで出ただけで

玄関に張り付いて 見張る

真っ黒な瞳を いたずらっ子のように

動かした



死の床で

あの子をさすっていると

やんちゃな子猫時代が

いたずらばかりしていた頃が

きらきらと 雪のように

あの子の上に降って来た



やがて息絶えた あの子の亡き骸は

変わり果てた と言うには

およそふさわしくなく

生きてるときとは違うけど

ただただ愛苦しくて


丹念に体を拭き清め 毛を櫛でとかし

何度も何度も 目を塞いで

綺麗に綺麗に 整えた


おすましちち子


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