原風景

私には親も兄妹も夫もいない。ふるさともない。生まれ育った場所にはもう誰もいないのでふるさと、を感じさせてくれる、想い出のかけらもない。ただいつも心に浮かぶのは地平線の見える空と大地だけの荒涼とした風景水平線の見える空の青と、海の青だけの風景。いつも私の原風景のように心から離れずに眼を閉じると見えて来る。闇でしかない現実の中で私の心にいつも広がる風景。帰りたい。あの風景にもう帰りたい。あと幾つの夜を...