たこ八郎と言う人

 2011-08-30
たこ八郎と言う人を、知っている人は
もう少ないかも知れないね。
随分前に亡くなって、そんなに有名じゃないので
あまり大きく語られてもいないから。

でも、私にとって、彼の死に方は理想だ。

本名ー斉藤清作(さいとうせいさく)
1940年(昭和15年)11月23日~1985年(昭和60年)7月24日。
宮城県仙台市出身。

たこ八郎は、元プロボクシングフライ級王者だった。
ノーガードで相手選手にどんどん打たせ、
相手が疲れきった所で猛烈なラッシュをかける
そのファイトスタイルは、
「明日のジョー」のモデルになったとも言われている。

しかし、そのお陰で彼はパンチドランカーになった。
引退して、由利徹の元に弟子入りし、コメディアンとしてときに役者として
「たっこで~す!」といつもバカぶりを発揮してた。

由利徹の元に住み込むようになり、失禁していたこともしばしば。
酒ばかり呑み、それでも
たこちゃん と周囲には慕われていたそうな。
おそらく新宿ゴールデン街のどこかの店だろう。
たこちゃんがふらっと立ち寄ると「おいで、たこちゃん。ここ空いてるよー」
と、いつもみんなに優しくされていたたこちゃん。

そんなたこちゃんがある日みんなで海に行って
酔ったまま海に入り、
そしてそのまま消えた。
心臓マヒだった。

葬儀のとき、葬儀委員長を務めた赤塚不二夫、立川談志、タモリ等の関係者は、
「このバカが!とうとう逝きやがったか!」とか
「たこが海で死んだ。何も不思議なことはない」
とか、言いながら、三本締めで見送ったと言う。

何より、本当にみんなが彼の死を悲しんでいるんだと感じたのは、
彼の墓石のお地蔵さんに集まって、大泣きしながら
確か、万歳三唱しているVTRを見たことがあって。

「心よりお悔やみ申し上げます」とか
「心よりご冥福をお祈りします」とか、
そんな表層的な挨拶なんかなしの
みんなで泣きながらの「ばんざい!ばんざい!ばんざーい!」を見て

本当にこれだけみんなに迷惑をかけながら、
それでも愛されたんだなあ・・・と思ったものだ。

たこちゃんの座右の銘は
「迷惑かけてありがとう」 だった。
迷惑かけてごめんなさい じゃなくて、「迷惑かけてありがとう」なんだと。

人は、他人に迷惑をかけることにすまない と思ってしまう。
迷惑をかけるとすいません ごめんなさい と思ってしまう。

でも、きっとたこちゃんは、他人に身を任せることを
それでも他人は受け入れてくれることを知っていたのかも知れない。

だから、どんなに迷惑をかけても、迷惑かけてありがとう
と言えるのだろう、きっと。

そんなたこちゃんだから、
どんな姿で店に立ち寄っても、どの家を泊まり歩いても、
彼を知る人は、素のままの彼を自然と受け入れられたのかも知れない。

みんなを救うカッコいいヒーローでもない、
スーパーマンでもない、
カッコ悪い、でも人間らしい、たこちゃんだったから、愛されたのかも知れない。

あんなふうに人間らしく、カッコ悪く、
そして、あんなふうにある日ふと
消えていきたい。



にほんブログ村 ポエムブログへ

ブログランキング・にほんブログ村へ



タグ :
≪ トップページへこのページの先頭へ  ≫