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死神か、見送りか

 2011-06-27
病棟勤務の頃、
私が夜勤のときに必ず患者さんが急変、死亡することが続いた時期があった。

偶然にしては、何度も、よく続いたもので。

潮の満ち引きと関係もあるのか、深夜から未明にかけて
と言うことは実際に多かった。

皆は、「え?明日ナレイさん夜勤?じゃあ○○さん明日だよ~ヤバいよ~
どうしよう~~」などと、口々に言い合っていた。

皆、自分が夜勤のときに患者さんに逝かれるのをやはり嫌がる。

しかし、私は昔から人の死が常に身近だったせいなのか、
また、病院で死ぬ以上、必ず職員の誰かが
看取らなくてはならないと思うからなのか、さほど抵抗はなかった。

なので、からかい半分に皆に「ナレイさんって死神なんじゃなーい?」
「そうだよ、死神だよー」などと言われたときも、

「そうかもねー」などと笑って返し

特に傷つくことも、気に病むこともなかった。

そのとき、そんなやりとりを黙って聞いていた一人のナースが重い口を開き、

死神じゃなくて、患者さん、
みんなナレイさんが来るのを待ってるのよ。
ナレイさんに見送って欲しいと思ってるのよ。


そう言ってくれた。

その言葉は、いくら死神と言われて気にしない私にとっても
温かく響いた。

そう感じられると、次の夜勤でもまた、
急変して亡くなるかも知れない患者さんに対して、
「私が、きれいにして、きちんと、見送ってあげるけ、ちゃんと待っとってや・・・」

余計にそんな気持ちになれたものだった。

そのナースの言葉は温かくて、今も私の中に残ってる。

たとえそれが、当の患者さんには関係ない
私の勝手な合理化だったとしても、どの道見送らなくてはならないのなら、

それが 日常茶飯 になりがちな現場で、事務的に済ませるよりは、
気持ちを込めて、見送ってあげた方がいいのではないだろうか。

今でこそ「おくりびと」なんて映画が出来て、
あの映画は、随分と美化されて描かれているなあと個人的には思うけれど、

ネットでも「エンゼルセット」から
「死後の処置の仕方」まで出回ってるようだけど。

現実は、決して美しいものとは言えない。
ご遺族があの場面に堪えられるとは、私には到底思えない。

元々死後の処置は、隠蔽されて来たものだから。

そして、いつも、どの場面でも、隠蔽された底辺の仕事を、
必ず誰かが担うことで、

我々は「豊かな生活」と言う
恩恵を被っていることを、忘れたくないと、いつも思う。
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