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ほぼ廃人と化した女が吐く、ネガティブ詩や散文
前回書ききれなかったことを少し。

山本ユキオ先生は、当時まだ若い新米教師。
きっと手探りの毎日だったんだろうと想像する。

私らのクラスも、
決して問題のないクラスではなかった。
いじめもあったし、ケンカが絶えない、なんてときもあった。

それでもユキオはその度に、
みんなの前で悪い子を叱り飛ばし、ビンタをして、
そして話をして聞かせて、問題を解決した。

今にして思えば
子供にはわかってたんだよね・・・・・・。
ユキオに叱られると、本当に怖くって
心底悪いことしたなあ・・・と反省するんだよ。

それだけ私ら子供たちは、ユキオを信頼 って言うか、
何より彼を大好きだった ってことなんだろうね。

そして、ユキオは何も言わないのに
とにかくもう、子供が好きで好きで
可愛くて可愛くてたまらない・・・・!
そんな感情がいつも注がれていたのを
私は感じてた。
みんなもきっとそう感じてたんだろう。
だから、問題になんかなりようもなかったんだよね。

先生、先生も長年の教員生活から数年前に勇退したから、
もう時効だよね。
言っても良いよね?

ある日ユキオは
「秘密まもれるか?」とみんなに問うた。

ユキオの郷里は東北だった。
本来、自分のクラスだけ特別扱いしてはならない、
と言うことだったのだろう。
でもユキオは、他の教員にも校長にも勿論内緒で
実家から送られて来たらしいさくらんぼを
私らにひと房ずつ、分けてくれた。

私たちはコーフンして大はしゃぎで
「きゃーっ!」「わあー!」と大歓声。
「シーーーッ!シーーッ!」とユキオに言われながら、
ひと房のさくらんぼをみんなで食べたね。

ひとパック、自分で全部食べれば良いものを
彼は、私らにひと房ずつでも食べさせてやりたい、
と思ったんだよね。

私らはいつしかそのことを
「少年探偵団」と呼ぶようになったね。

さくらんぼだけじゃない。
のし梅とか、ささ飴とか、
実家から何か送られて来ると、
必ずユキオは
それを私らと分け合って食べた。

「少年探偵団」と言う秘密を共有することで
私らの、ユキオへの親しさは、より増して行った。

今、やたら体罰が問題になってるみたいだけど、
私らの間で、ビンタの話題なんて大して出たこともなく
つまりそれだけ誰も気にも止めていなかった。

私らにとってユキオの存在は、
担任教師を越えた、父親みたいなものだったのかも知れない。

成人して、一緒に飲んだとき
「初めて受け持ったお前たちのことは
忘れようと思っても一生忘れられないよ。」

そう言ってくれたね。






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【2013/02/12 03:34】 | つくづく思うこと
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