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ほぼ廃人と化した女が吐く、ネガティブ詩や散文
苦役列車

感想と言うか、何と言うか、
とにかく、日頃活字を受け付けない私が
吸い込まれるように2~3時間で一気に読んでしまった。

そもそも、これを読もうと思ったのは
苦役列車 と言うタイトルと、
この筆者、西村賢太氏にとても興味を持ったから。
芥川賞受賞作品だったからではない。

私小説(わたくししょうせつ)と
西村氏が言っていた意味がよくわかる。

所持金150円なんてこともザラ。
3畳の風呂なし・共同便所・安アパート住まい。
埠頭で、大量のイカやタコを扱う単調な
だけどキツい、5500円の日雇い仕事。
中卒。
唯一の楽しみは、安ソープへ行くことと酒。
母親から金のむしんをすることもしばしばなため、拒否される。
一杯170円の立ち食いそばすら、食べられない。
煙草すら買えないときもある。

このアパートすら、家賃を平然と滞納しても土下座すれば何とかなる
と考えていて、
とうとう怒った家主からどう謝っても叩き出されることになり、
安アパートを転々とする。
父親は性犯罪者で、
母と共に小学校の頃から逃げて来た過去を引きずっている。

これが主人公、北町貫多。19歳。

自虐 ではなく、筆者の思いをただ淡々と表現している
と言った印象を受ける。

底なし みたいな、
不信感や劣等感、を彼独自の表現で綴っていて
それが読み手を惹きつける。

そんな貫多の日雇い生活の中にも
実に人間らしい出会いが芽生えるのであるが、
それは、ありがちなフィクションのように、
何かおおごとになったりすることもなく、
ただただ貫多の思いだけが綴られている。

それが良い。

最後に、最も気に入った一文を。

浅ましい妬みやそねみに絶えず浸蝕されながら、
この先の道行きを終点まで走ってゆくことを思えば、
貫多はこの世がひどく味気なくって、息苦しい、
一個の苦役の従事にも等しく感じられてならなかった。


ここ、物凄く共感した・・・・・。

石原慎太郎じじいは、解説の中で
彼の作品は今後、彼が裕福になることで阻害されて行くんじゃないか
みたいなことを書いていたけど
(よりにもよってなんでこの作品とはおよそ無縁・みたいな
石原なんかが解説するんだろう?)

私はそうは思わない。
確かに、最近の彼は、タレント活動もしていてよくテレビにも出てる。
その姿は実に楽しそうで、
今までに味わったことのない経験なんだろうと思う。

でも、彼の生い立ちや経験は、
そんな、裕福になることくらいで阻害されるような小さいものじゃない、
と私には思えるから。

いや、本当にこれ、わたし向き。





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【2013/01/26 07:05】 | 映画、ドラマ、音楽 favorite
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