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ほぼ廃人と化した女が吐く、ネガティブ詩や散文
真坂動物病院に入職してから
半年を過ぎた頃だったろうか。


私は、もう当然のことと
犬舎掃除に時間をかけて
モモやテツたちをゲージから出して
遊ばせ、声をかけ、
自分の家の犬たち以上の、愛情を注いでいた。

モモは、真っ白な毛が生えて、
すっかりマルチーズらしくなり、
匂いも以前より遥かに軽減した。

テツもクロも、犬舎の中を動き回って
束の間だけど楽しそうで、
私に、しきりに甘えるようになって行った。

そしてみんなが、
吠えたり、尻尾を振ったり、人に甘えたり
普通の犬と同じようになって行くことが
私には嬉しかった。


しかしある日のこと、私が出勤して犬舎を見ると
クロがぐったりとして、
背中に、20センチほどもある切り傷を
何本も作っていた。
縫合の糸が傷に沿って何本も出ていた。


その頃、獣医師の学生が来ており、
その学生の、傷の縫合の実験に
クロが使われたのだとすぐにわかった。

なんということだろう・・・・・。
こんな、線路の複線みたいに何本も
わざわざ傷を作るなんて・・・・。
縫合した後には、痛み止めさえ使ってもらえず、
クロは、痛いのだろう、いつもの元気な姿はなく、
ぐったりとゲージの中に、横たわっていた。

学生だから、百歩譲って縫合の練習をするのもいい。
しかし、これほどいたぶるように何本も
わざわざメスで切り刻むことはないじゃないか・・・!
痛み止めを使えよ!と、私は怒りに震えた。

可哀相に、綺麗だった背中に
わざわざ何本も傷を作られて、
痛みに堪えていたクロ。

ごめんね、クロ・・・・。
どれだけ痛かったろうに・・・
痛いね・・・痛いね・・・
でも私には痛み止めの注射はできない・・・ごめんね・・・
そう思って、

ただ撫でてやることしかできない
自分の無力が情けなくて、可哀想でたまらなくて、
クロの、線路の複線になった背中を見つめ
怒りと悲しみの中で、その頭を撫で続けた。


(次回につづく)

↓(これまでのお話)
悲しき実験犬・第1話

悲しき実験犬・第2話

悲しき実験犬・第3話


この動物病院では、余りにいろんなことがあり過ぎて
どうまとめていいものやら・・・と途方に暮れるほど
まだまだ悲しい出来事は続きます。
しかし、同時に私のささやかな「作戦」は、より大胆な「作戦」に、
そして、やがて、大きな「決断」へと変わっていきます。







ぽちで救われる私がいます


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FC2blog テーマ:エッセイ・散文 - ジャンル:小説・文学

【2016/02/20 04:41】 | 愛しきイヌネコ
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みや
ナレイさん

ごぶさたしております
以前、コメント書かせていただきましたが、久しぶりにそのブログを読ませていただきました
優しい言葉をいつもかけていただいて、ありがとうございます
何年もたちましたが、そんなに日がたったのですね

私が書くのも失礼ですが、
ナレイさんの以前のお仕事で人に対する優しさ、読ませていただき気付くことが多かったです

今回も、この犬、かわいそうですね
実験台になってしmし、麻酔もかけないのは、犬は痛いと言いませんが、かわいそう、気の毒です
愛情で接すると犬、猫も安心しますね

それをよく思わない人もいるのですね
どこにも、業務優先で冷たい人がいるのですね・・・

これからもよろしくお願いします



Re: みやさん・・・!
ナレイ
こちらこそ、ご無沙汰しております。

コメント、ありがとうございます。

この「悲しき実験犬」シリーズは、
とても一度には書ききれない・・・と思い、
1話、2話、3話、4話、そして今後も書ける余裕のあるときには
書いていきたいと思っています。

私が、はたちの頃のことですから、そう・・・もう
30年以上の月日が経っていますが、この子たちのことは
忘れたことがありません。

つらかったですよ・・・この子たちが放置されたり
実験用に使われた後を見ることは。

キレイごとは好きではないので、獣医師になるため
実験として犬を使うことも、あっておかしくはないです。

それから、私の書き方が悪くてすみません。
確認をした訳ではありませんが、さすがに縫合のときには
麻酔はしたと思います。

ただ、問題はそのあと・です。
麻酔から目を覚ませば、あれだけの傷をわざわざ
作ったのですから、痛いに決まっています。

うろ覚えですが、私が「痛み止めを打ってくれ」と
頼んだのかも知れません。
でも、確か院長に言われたんです。
「痛み止めの薬が勿体ない」と。
勿体ないって・・・・そんな大量に使う訳でもないのに・・・・。

この人たちには、もう何を言っても無駄なんだなあ、と
本当に悲しかったですよ。

1話には書きましたが、出勤初日に初めてこの子たちと出会って
帰りのバスの中で、私は人目もはばからず、泣きじゃくりながら
帰路に着きました。

当時飼っていた自分の家の犬たちより、
オーナー(飼い主)さんが連れてくる患者のイヌネコより、
私は、この子たちのことを、いつも最優先に考え、
いろんな作戦を試みました。

それはまた、5話以降に綴っていきたいと思います。


みや
ナレイさん
お返事ありがとうございます

すみません
縫合した時は麻酔しましたね
その後の痛み止めを使わないのは、痛いのはつらいですので、かわいそうです
どうして獣医師になったのか、よくわかりません

今後もよろしくお願いします



Re: みやさん
ナレイ
再コメント、ありがとうございます。

いいんですよ~
お気になさらずに。

そうですね。
なぜ獣医師になったのかは私にもわかりません。

ただ、院長も決して「いかにも金儲けだけの悪人」では
なかったんです。
院長がいる曜日を狙って来院するオーナーさんもいましたしね。

だから、余計にわからないんです。
なぜ、あんな扱いを平気でできるのか・・・・。

ただ、私はもう、院長を始めとするスタッフには
何の期待もしなくなりました。

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コメント
この記事へのコメント
ナレイさん

ごぶさたしております
以前、コメント書かせていただきましたが、久しぶりにそのブログを読ませていただきました
優しい言葉をいつもかけていただいて、ありがとうございます
何年もたちましたが、そんなに日がたったのですね

私が書くのも失礼ですが、
ナレイさんの以前のお仕事で人に対する優しさ、読ませていただき気付くことが多かったです

今回も、この犬、かわいそうですね
実験台になってしmし、麻酔もかけないのは、犬は痛いと言いませんが、かわいそう、気の毒です
愛情で接すると犬、猫も安心しますね

それをよく思わない人もいるのですね
どこにも、業務優先で冷たい人がいるのですね・・・

これからもよろしくお願いします

2016/02/20(Sat) 13:12 | URL  | みや #-[ 編集]
Re: みやさん・・・!
こちらこそ、ご無沙汰しております。

コメント、ありがとうございます。

この「悲しき実験犬」シリーズは、
とても一度には書ききれない・・・と思い、
1話、2話、3話、4話、そして今後も書ける余裕のあるときには
書いていきたいと思っています。

私が、はたちの頃のことですから、そう・・・もう
30年以上の月日が経っていますが、この子たちのことは
忘れたことがありません。

つらかったですよ・・・この子たちが放置されたり
実験用に使われた後を見ることは。

キレイごとは好きではないので、獣医師になるため
実験として犬を使うことも、あっておかしくはないです。

それから、私の書き方が悪くてすみません。
確認をした訳ではありませんが、さすがに縫合のときには
麻酔はしたと思います。

ただ、問題はそのあと・です。
麻酔から目を覚ませば、あれだけの傷をわざわざ
作ったのですから、痛いに決まっています。

うろ覚えですが、私が「痛み止めを打ってくれ」と
頼んだのかも知れません。
でも、確か院長に言われたんです。
「痛み止めの薬が勿体ない」と。
勿体ないって・・・・そんな大量に使う訳でもないのに・・・・。

この人たちには、もう何を言っても無駄なんだなあ、と
本当に悲しかったですよ。

1話には書きましたが、出勤初日に初めてこの子たちと出会って
帰りのバスの中で、私は人目もはばからず、泣きじゃくりながら
帰路に着きました。

当時飼っていた自分の家の犬たちより、
オーナー(飼い主)さんが連れてくる患者のイヌネコより、
私は、この子たちのことを、いつも最優先に考え、
いろんな作戦を試みました。

それはまた、5話以降に綴っていきたいと思います。
2016/02/20(Sat) 16:10 | URL  | ナレイ #-[ 編集]
ナレイさん
お返事ありがとうございます

すみません
縫合した時は麻酔しましたね
その後の痛み止めを使わないのは、痛いのはつらいですので、かわいそうです
どうして獣医師になったのか、よくわかりません

今後もよろしくお願いします

2016/02/20(Sat) 19:42 | URL  | みや #-[ 編集]
Re: みやさん
再コメント、ありがとうございます。

いいんですよ~
お気になさらずに。

そうですね。
なぜ獣医師になったのかは私にもわかりません。

ただ、院長も決して「いかにも金儲けだけの悪人」では
なかったんです。
院長がいる曜日を狙って来院するオーナーさんもいましたしね。

だから、余計にわからないんです。
なぜ、あんな扱いを平気でできるのか・・・・。

ただ、私はもう、院長を始めとするスタッフには
何の期待もしなくなりました。
2016/02/21(Sun) 04:59 | URL  | ナレイ #-[ 編集]
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