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ほぼ廃人と化した女が吐く、ネガティブ詩や散文
私には、一生忘れられないであろう
犬と猫がいる。

これまで共に暮らして来たイヌネコたちも
勿論だけど、

もっと、忘れられない犬たち、猫たちが。


あれは、二十歳の頃だった。
トリマー養成学校を出た私だったが、
トリマーという職種が嫌いで、動物病院に就職した。

あの頃の私は、若かったから
本当に単純に、大好きな動物たちと関われる
そう思っていた。


出勤初日、私は先輩のトモ子さんに
いろいろ指導されながら犬舎に入った。
業務はいろいろあるけれど、犬舎掃除は、欠かせない。

当時の真坂動物病院(仮名)の犬舎には、
ステンレス製のゲージが
4階建てに、いちばん下の大きなゲージから、
上に行くにつれて小さなゲージが並んでいて、
そう・・・・狭かったから、僅かに20あるかないか
だったと思う。


何よりその犬舎は薄暗く、陽が当たらず
コンクリの床はいつも湿っていて、
とても良い環境とは思えなかった。


そしてその犬舎には、入院中の犬や猫以外に
院内犬、院内猫と呼ばれる、
実験用や輸血用のイヌネコがいたのだった。

交通事故で下半身がすっかり退化して、異様に細くなり
びっこを引いていた柴犬テツ♂、
オーナー(飼い主)の元で産まれ、里親募集されながら、
白い子は貰われて行ったのに、
毛色が黒かった、それだけで院内犬になってしまったクロ♀、
生まれたときから、この犬舎しか知らない白黒の猫ピーコ♀、

そういう、院内犬や院内猫が何匹かいた。

トモ子さんが、上の方を指差して
「あそこにマルチーズがいるでしょう?」と言ったけど
私にはわからなかった。
どこにもマルチーズなんかいないじゃないか、
そう思った。
「あそこだよ、あそこ!いちばん上のゲージ」
更にトモ子さんに言われて、彼女が指差した先には
全身真っ茶色な小型犬がいた。


私はしばし絶句して
「あの子、マルチーズなんですか・・・・?」と問うた。
トモ子さんは至って平然と「そうだよ」と。
その子の全身は真っ茶色で、
マルチーズとわからない姿だったのである。


モモというそのマルチーズは、
慢性の歯肉炎と歯根炎から、全身膿だらけで
強烈な匂いも放っていた。

こんな病気ではとても飼えないと、
飼い主に置き去りにされて
4年間、ずっと狭くて冷たいゲージの中で生きていた。


モモは吠えることもせず、
伸び放題の毛の中から
僅かに覗く黒い瞳は、黙って私を見下ろしていた。


テツとクロは、2頭で一つのゲージに入れられていた。
掃除のとき、ゲージを開けると途端に出て来た。

出て来るなり、大きな排水溝に向かって
きちんと、うんちとおしっこをして
トモ子さんに「ハウス!」と言われると
きちんと、元の冷たいゲージに戻るのだった。


私は、帰りのバスの中、
人目もはばからず、
泣きじゃくりながら帰路に着いた。

「どうして置き去りになんかしたの?
どうして最期まで飼ってやらなかったの?
どうしてあんなに酷い犬舎なの?
どうしてあんなにいい子でいるの?」


様々な「どうして」が、次々に去来し、
胸の痛みが、熱い涙となって、
私の両の目から噴き出した。


(次回につづく)


この記事は、小説ではなく、
私が見て来た「事実」です。
私の経験を全て綴るには、
余りにボリュームがあり、長くなります。

なので、毎回は書けません。
何度かに分けて、綴って行きたいと思います。
犬や猫を好きだと言う方に
是非、読んで頂きたいです。






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【2016/01/25 09:52】 | 愛しきイヌネコ
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